表紙
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農林業と法の関わりについて研究する分野である。 ![]() 農業の一分野であり、法学の一分野である。 農学部の中に法学の研究室があるのは、全国の大学でも極めて珍しい。 農地改革、農地法、農業基本法、森林法、林業基本法などの基本的なことから、農家相続、入会林野の近代化、食糧流通などの問題まで扱う。農林業に関する知見と法律的素養の双方が要求される。 わが国においては特に、農林業と法の関わりは強い。 農林業の基礎的生産手段である土地の権利関係を規定するのも法であるし、戦後の農地改革や、その後の高度経済成長期に農業基本法を制定し、基本法農政と呼ばれる政策を通じ農業の構造改革を促し、 農家の一戸当たりの生産高を増大させようとしたのも法律に基づく処置であった。法律抜きには、農林業の成立は考えられない。 農業法、林業法の基本的性格付けは、農業および林業を自由な市場経済にゆだねることが適切ではなく、国家が介入して適切な規制、調整を行うことが必要である、という点にある。 したがって、これらの法は伝統的な公法と私法には位置付けられない特殊なものである。 わが国の場合、先進工業製品を生産し、極めて付加価値の高い産業が形成されているので、自由市場経済の下で産業として自立的な農業と林業を成立させるのは不可能である。農林業は、製品を市場に投入しても、生産コストがかかりすぎて、工業製品ほどの生産性を上げることができないのである。 これらは、市場のメカニズムにより、淘汰されてしまう宿命にある。 すなわち、付加価値の高い工業製品を輸出して、その資金で外国から食料や木材を輸入したほうが安上がりとなってしまう。自由市場にゆだねて放置してしまうと世界的な分業が進行し、日本から農業と林業は姿を消すことになる。食糧と木材の自給率は、一部の特殊な製品を除いて、ゼロとなる。 これは、食糧安全保障の点からも好ましくない。田園風景の保存、清浄な空気と水の供給源としての美林の保存という点からも好ましくない。 何らかの施策により、わが国に農業と林業を維持してゆかねばならない。農業と林業に公的資金が投入されて、それが保護育成されてゆかねばならない。これには、法の介入が不可欠であり、それらの公的資金の投入の正当な根拠づけが必要である。これまでの各種の補助金、助成金は、多分にばら撒き的、施し的なものであったが、今後は、それらのより積極的な正当性が認識されねばならない。 農業と林業は、工業都市社会を含めた全体社会にとって、不可欠な優良環境を提供するものとして、積極的にその存在意義が認識されねばならない。いわば、社会にとっての正当な費用としての環境投資である。法的に根拠をもった、このような認識により、日本の農林業に明るい未来が見えてくる。
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表紙 * 農林法規学目次 * 法と経済学 * 法社会学 * coffee break
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